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株主の皆様へ

佐藤文夫 会長 (左)、西室泰三 社長 holder02.jpg

 東芝の96年3月期の業績は2年連続で増益を記録しました。連結売上高は過去最高の5兆 1,201億円と前年度に比べ7%の増加となりました。一方、利益面においても、連結営業利益が72%増の2,202億円、連結当期純利益が約2倍の904億円となりました。これは当社が近年進めてきた競争力強化策、及び成長性の高い市場への集中的資源投入の成果が表われてきた結果と言えます。製品別では、特にパ−ソナルコンピュータ、コンピュータ周辺機器及び半導体が好調でした。また当年度はデジタルビデオディスク(DVD)の規格統一がなされましたが、当社はその中心的役割を果たしました。


部門別概要
 情報通信システム・電子デバイス部門の売上は前年度比11%増、営業利益は約2倍となりました。とりわけ半導体が好調で、世界的なパソコン需要の高まりにより、メモリやその他コンピュータ用半導体需要が急拡大しました。こうした中、当社は高速・低消費電力・薄型パッケージタイプの半導体など顧客のニーズに合致した高付加価値製品に特化し、他社との差別化を図りました。一方、当社のポータブルパソコンは国内外で好調な販売を記録し、世界市場でトップシェアを確保しました。またCD-ROMやハードディスクドライブなどのコンピュータ周辺機器も好調でした。
 重電機部門は原子力機器やその他のエネルギー関連機器が好調で、売上高は8%の増収となり、営業利益は34%増となりました。当社は当年度も発電・受配電システム分野でリーダーとしての地位を強固にしました。特に、先進技術の1つであるABWR(改良型沸騰水型原子炉)などの原子力発電技術における強みは、当社の高い競争力につながっています。また、ガスタービン分野では米国ゼネラルエレクトリック社との協力関係をさらに強化し、ガスタービンを含むタービンの補修事業に関する合弁会社を日本に設立しました。
 家庭電器・その他部門は売上減となり、営業赤字も増大しました。この要因は、国内市場での価格競争の激化により家電製品の売価が低下したことや、北米及び中国でカラーテレビやVTRの販売が不振だったためです。

長期的利益の確保のために
 過去2年間の業績が好調だったとはいえ、当社はこれに満足しているわけではありません。ビジネス環境は急速に変化しつつあり、これまで以上に新たな課題を投げかけています。我々はこうした課題に対応し、長期的利益を確保しなければなりません。これを実現するため、グローバル化の加速、生産性と競争力の強化、及びマルチメディアなどの新事業の開拓に注力してきました。今後とも我々の課題は、世界市場に立脚しつつ、コスト競争力の高い事業を展開し、当社の持つ力を最大限に駆使して成長性の高い製品・サービスを提供することにあります。また同時に、家庭電器・その他部門の競争力と利益の回復にも注力しなければなりません。
■ グローバル化の加速─ますますボーダーレス化が進む今日の市場の中で、他社に打ち勝つ競争力を強化するため、当社は海外生産の拡大や海外の有力企業との提携、営業力の強化など事業のグローバル化を加速させています。フィリピンでは、今年からパソコン用の基板やハードディスクドライブ及びその他のパソコン用部品の生産を開始します。また米国では、IBM社との新たな合弁会社において、次世代の半導体メモリである64メガビットDRAMを97年秋より生産開始する予定です。こうした数々の施策により、生産高に占める海外生産の比率は、現在の17%から98年には25%以上に拡大するものと見込んでいます。また、国際調達も拡大しており、96年度の部品や完成品などの輸入額は、単独ベースで前年度に比べ5%増の3,600億円まで高まる予定です。当社の事業はますます国境を越えて拡大しており、今後数年間に、今まで進めてきたグローバルロジスティックス強化のメリットが享受できるものと考えています。
■ 家電の競争力強化─現在、家電・その他部門の利益を回復するため、積極的に諸施策を展開しています。特に、家電製品の海外生産を強化することは、コスト削減につながると同時に、より早く需要の高い成長市場にアクセスすることも可能となります。96年にはインドネシアでカラーテレビ及びカラーブラウン管の生産を開始します。タイではエアコン、冷蔵庫に加え、洗濯機の生産も開始されます。また、主要事業の再構築も進めています。96年にはVTR事業の設計・開発から販売に至るまでの本社機能をシンガポ−ルの現地法人に移管しました。これにより、この事業で成功するために不可欠な要素である価格競争力を強化できるものと考えています。この他にも、日本国内での家電販売体制再編や、北米及び欧州での事業体制の再編を行いました。
■ 経営体質のリエンジニアリング─現在の課題に対応するためには、当社及び東芝グループ全体の経営体質のリエンジニアリングが不可欠です。言い換えれば、スピードと生産性と敏感さが要求されているのです。これらを最大限化するため、当社は管理階層の少ないフラットでスリムな組織を構築しています。最近では中間管理職のシステムを変更しましたが、これは管理職にフレキシビリティを与え、最も生産性が上がる業務を担当させることを目指しています。また約1,000名の技術者やスタッフの再教育を進め、成長分野・新規市場分野にシフトさせました。当社はかねてより、本社スタッフを数年前のピ−ク時に比べ30%削減する計画を推進しており、現在その最終段階に入っています。これらの施策により、当社全体の生産性と競争力を向上させることを目指しています。

Advavced-I 作戦:新市場の創造による成長
 当社の成長戦略の中核の1つはAdvanced-I作戦です。1994年の開始以来、Advanced-I 作戦は映像システム、コンピュータ、ソフトウェア、半導体及びキーコンポ−ネント、通信など広範にわたる技術を融合させ、マルチメディア製品の創造に不可欠な様々な技術を統合してきました。現在起こっているデジタル革命は様々な事業機会を生み出しており、新たな製品・システム、インフラストラクチャー、サービスを創造しつつあります。当社はこうした発展に貢献できるだけの独自の技術を持っていると確信しています。単にマーケットニーズに応えたり、他社に追随することで成功するのではなく、ニーズを先取りし、新市場を創造する、つまり東芝自身が流れを作ることによって成功したいと考えています。
 Advanced-I作戦の最初の成果が、マルチメディア時代に欠かせないDVDです。基本技術及び国際統一規格確立を主導した結果、当社の名前はこの新たな光ディスク技術と密接に結びつけられるようになりました。現在、来たるべきDVD時代にあらゆるメリットを享受すべく、ビデオプレーヤーやコンピュータ用のディスクドライブなど、広範囲にわたるDVD製品・システムの早期製品化を目指しています。これらの製品には、当社が開発した高い半導体技術が生かされています。また、これらの製品だけでなく他のシステム事業にも力点を置いています。その1つの例が、今後の成長が期待されているビデオ・オン・デマンド用サーバーのデータストリーマーです。こうした新しいビジネスチャンスを事業に結びつけるため、当社だけでなくグループ全体としての総合力を結集しています。例えば、DVDの製造や製造装置の開発、コンテンツ作成事業者に対するオーサリング事業など、包括的なDVD関連事業に取り組んでいます。
 また、DVD事業以外にもAdvanced-I作戦の成果が表れ始めています。国内では、当社が開発を推進した双方向テレビの試験放送が開始され、この秋には商業放送も開始される計画です。また、新たに合弁会社のニューズウォッチ社を設立しました。これは個別のユーザーのニーズに合わせた日本語ニュースをインターネットを通じて配信するものです。一方、タイムワーナー社などのパートナーと共に日本で設立したケーブルテレビの合弁会社であるタイタスは、テレフォニーなどのサービスの提供を行うため、全国規模のケーブルネットワークを構築しています。こうした取り組みを通じて、当社は製品、システム、サービスからコンテンツまで、マルチメディア市場のあらゆる局面においてリーダーとしての地位を確保してゆきたいと考えています。

トップマネジメントの新体制
 1996年6月にトップマネジメントの体制を刷新しました。今後も様々なチャレンジが我々に覆いかぶさってくることは確かではありますが、同時に当社にはそれに打ち勝ち、変化の激しい今日の市場において長期的成長を遂げるだけの強みや活力も持っています。
 我々は、マーケットや顧客の皆様の声をよく聞き、経営戦略をスピーディーに確実に実行することにより、進展し続けています。市場がよりグローバルに、よりダイナミックに変化を遂げている現在、東芝自身が垣根のない、敏感な企業体にならなければなりません。これを実現するために、どのような場面においても通用する技術力を確保し、グローバルレベルの生産性と競争力を追求し、成長が期待できる分野に特化したマーケティング活動を集積しています。
 「俊敏」な企業であることが21世紀で成功する企業の鍵であると考えています。この意味は、単に動きが速いということでなく、不透明な事業環境をチャンスと受け止め、成長性に力点を置き、全力で利益を確保してゆく柔軟な組織体制づくりに注力するということです。当社は、すべての局面に置いて、顧客の皆様が求めている価値を創造しなければなりません。事業環境がますます多様化し、変化を続けていることを認識している企業として、確信を持って長期的成長に不可欠なビジョンを実現してゆく所存です。


1996年7月

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会長 佐藤 文夫
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社長 西室 泰三


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